
相続税を計算する上では、上場株式は4つのうち最も低い価額で評価します。
A社株式(上場会社)1,000株を相続しました。
相続税を計算する上で、このA社株式を評価しなければなりませんが、この場合の評価額(相続税評価額)は相続開始日の終値を基に算定することとなるのでしょうか。
なお、相続開始日は7月10日です。
上場会社の株式に係る相続税評価額は、原則として、詳細解説にある@〜Cの価額のうち最も低い価額を基に算定します。
相続税を計算する上で、金融商品取引所に上場されている株式(以下、上場株式)の評価は、次の1. のように定められています。
上場株式は、次の@〜Cのうち、最も低い価額により評価します。
- @相続開始日の上場株式の終値
- A相続開始日の属する月の毎日の上場株式の終値平均
- B相続開始日の属する月の前月の毎日の上場株式の終値平均
- C相続開始日の属する月の前々月の毎日の上場株式の終値平均
相続開始日が金融商品取引所の休業日であるなどの理由により、@の終値がなかった場合は、相続開始日に最も近い日の終値となります。この場合、日付の前後は関係ないため最も近い日が2日あるケースも考えられます。このような場合には、両日の終値を平均した額が@の価額となります。
なお、権利落ちや配当落ちがある場合には、別途、一定の調整計算が必要となります。
上記1. @〜Cの価額は、紙媒体の他にもインターネットを用いて確認することができます。価額を確認することができる代表例を以下に示しました。
価額を確認することができる代表例 | |
@ |
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A |
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B | |
C |
なお、公表されている終値(終値平均)に円未満の端数がある場合には、円未満の端数は切り捨てます。
ご相談者様のケースを以下に想定して、相続税評価額を算定してみましょう。
対象月(日) | 価額 | |
@ | 相続開始日:7月10日 | 5,499円 |
A | 相続開始日の属する月:7月 | 5,134円 |
B | 相続開始日の属する月の前月:6月 | 5,352円 |
C | 相続開始日の属する月の前々月:5月 | 5,650円 |
上記の表で一番低い価額は、Aの5,134円です。
よって、A社株式の相続税評価額は、5,134,000円(5,134円×1,000株)となります。
上場株式は価額が公表されていますので、相続税評価額の算定はわりとスムーズにできますが、4つの価額から最も低い価額を選ぶことを忘れないようにしましょう。
<参考>
評基通168、169、国税庁HP「4632 上場株式の評価」
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