家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2023/05/20


 農地の購入に必要となる農家資格について教えてください。




 市街化調整区域内の農地を相続しましたが、自身で管理できないため売却したいと考えています。お隣の農地を耕作している方に購入を打診したところ、「農家資格がないため購入できない」と断られました。農地購入の際に必要となる農家資格とはどのようなものでしょうか。




 農家資格とは、農地の権利移動あるいは他用途への転用を行う場合に必要なもので、農地法に定められた許可を得る必要があります。農地法の許可の種類や許可基準については、詳細解説をご確認ください。




1.農地法の許可の種類
 目的(権利移動・転用等)により許可基準が異なり、その根拠条文は以下のとおりです。

  • @ 農地を農地として権利移動(売買や賃借)する場合(農地法第3条)
    農業委員会の許可(都市計画にかかわらずすべての区域)
  • A 農地を農地以外に転用する場合(農地法第4条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可
  • B 農地を農地以外に転用する目的で権利移動する場合(農地法第5条)
    市街化区域:農業委員会への事前届出
    市街化調整区域:農業委員会の許可

 農地として権利移動する場合、@により農業委員会の許可が必要となります。市街化区域内の農地の場合、AおよびBは、農業委員会への事前届出で足りるため、転用あるいは転用を目的とした権利移動については、容易に行うことができます。
 ただし、市街化調整区域内の農地の場合は、目的にかかわらず、@からBのいずれかの許可が必要となります。

2.ご相談のケースにおける許可基準

 今回のご相談は売買のため、上記1.@の許可が必要となります。つまり、許可基準は農地法第3条によります。
 農地法第3条には、許可基準について以下のように規定されています。

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

 上記のとおり、農業委員会の許可を得なければ権利移動することができず、その許可を得るためには、以前は下記のI.〜IV.の条件をすべて満たす必要がありました。

  • 農地のすべてを効率的に利用すること
  • 必要な農作業に常時従事すること
  • 一定の面積を経営すること(下限面積要件)
  • 周辺の農地利用に支障がないこと

 ただし、令和4年に農地法が一部改正されたことにより、上記V.の条件は撤廃され、令和5年4月1日以降の許可分から下限面積要件はなくなりました。なお、相続や包括遺贈、時効取得による権利移動の場合は、農地法第3条の許可を要しません。

 お隣の方が認識している「農家資格」とは、I.〜IV.の条件をすべて満たすことを指していると思われます。

 下限面積要件の撤廃は最近の改正であり、まだあまり周知されていません。もしかするとお隣の方はV.の条件を満たしていないために、農家資格がないと判断されているのかもしれません。上記をお伝えした上で、確認されてはいかがでしょうか。

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